仮想通貨の確定申告④仮想通貨確定申告書の書き方・記入例付き

目次

はじめに

仮想通貨

仮想通貨の損益計算が終わったら、次は確定申告書の作成です。「確定申告書のどこに何を書けばいいの?」「仮想通貨の利益はどの欄に記入するの?」といった疑問を持つ方は多く、実際に当事務所でも毎年多くのご相談をいただきます。

確定申告書の記入は、税務署に提出する正式な書類のため、正確性が求められる重要な作業です。記入ミスがあると税務署からの問い合わせや修正申告の原因となり、場合によっては追徴課税のリスクもあります。一方で、正しく記入すれば、仮想通貨投資を安心して続けることができます。

この記事では、仮想通貨の利益がある場合の確定申告書の書き方を、具体的な記入例とともに詳しく解説します。

確定申告書の基本的な書き方

使用する申告書の種類

仮想通貨の利益がある場合は、確定申告書の第一表と第二表を使用します。雑所得は総合課税の対象となり、他の所得と合算して税額を計算する必要があります。

雑所得欄への仮想通貨利益の記入方法

第一表での基本的な記入

第一表の所得金額欄にある「雑所得のその他の区分2」の欄に、仮想通貨の年間利益を記入します。仮想通貨以外にも雑所得がある場合(アフィリエイト収入、原稿料、講演料など)は、それらと合算した金額を記入することになります。

例えば、仮想通貨で100万円の利益があり、アフィリエイトで20万円の収入がある場合、⑧雑の欄には120万円を記入します。この金額は収入から必要経費を差し引いた所得金額であることに注意してください。

第二表での詳細記入

第二表の所得の内訳により詳細な情報を記載します。所得の種類には「雑(その他)」、種目には「暗号資産」、給与などの支払者の「名称」及び「法人番号又は所在地」等には「取引所の名前と住所」を記載します。

収入金額には年間の実現損益の総額を記載します。源泉徴収額は0と記載します。

所得の内訳書の作成方法

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所得の内訳書が必要となる条件

雑所得区分で申告する場合には、所得の内訳書の作成が必要です。これは雑所得の詳細を説明するための書類で、確定申告書と併せて提出します。

所得の内訳書には、所得の種類として「雑(その他)」、種目として「暗号資産」、給与などの支払者の「名称」及び「法人番号又は所在地」等には「取引所の名前と住所」を記載します。

具体的な記入例(ケーススタディ)

ケース1:給与所得者の副業取引

年収500万円のサラリーマンが、副業として仮想通貨取引を行い、80万円の利益を得た場合を考えてみましょう。取引手数料として5万円を支払っているとします。

この場合、第一表の収入金額等の給与欄には500万円、雑欄のその他欄には区分を2と記載し、80万円を記入します。そして、所得金額等の給与欄に給与所得控除後の金額を記載し、雑欄のその他欄に75万円(80万円-5万円)を記載します。第二表の所得の内訳には、所得の種類として「給与」と「雑(その他)」、種目を「雑(その他)」の右に暗号資産、給与などの支払者の「名称」及び「法人番号所在地」等に給与支払者の情報と仮想通貨取引所の情報を記載します。最後に収入金額に500万円と80万円をそれぞれ記載し、源泉徴収税額に給与所得の源泉徴収税額を記入します。

ケース2:複数の雑所得がある場合

年収400万円のサラリーマンが、仮想通貨取引で120万円の利益を得て、さらにアフィリエイトで30万円の収入を得た場合を考えてみましょう。必要経費の合計は10万円だったとします。

この場合、第一表の収入金額等の給与欄には400万円、雑欄のその他欄には区分を2と記載し、150万円を記入します。そして、所得金額等の給与欄に給与所得控除後の金額を記載し、雑欄のその他欄に140万円(150万円-10万円)を記載します。第二表の所得の内訳には、所得の種類として「給与」と「雑(その他)」、種目を「雑(その他)」の右に暗号資産、給与などの支払者の「名称」及び「法人番号所在地」等に給与支払者の情報と仮想通貨取引所の情報を記載します。最後に収入金額に400万円と150万円をそれぞれ記載し、源泉徴収税額に給与所得の源泉徴収税額を記入します。

よくある記入ミスと注意点

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典型的な記入ミスの事例

最も多い記入ミスは、売却収入と利益を混同することです。例えば、300万円で売却した場合、取得費用が250万円であれば利益は50万円ですが、誤って300万円を利益として記入してしまうケースがあります。記入すべきは利益の50万円です。

また、取引手数料を収入から差し引いた上で、さらに経費として計上してしまう重複計上も頻繁に見られます。取引手数料は経費として1回のみ計上するのが正しい処理です。

記入時に注意すべき重要ポイント

損益計算の根拠となる資料は必ず保管しておきましょう。税務署から問い合わせがあった場合、計算過程を説明できる資料が必要になります。また、計算方法(移動平均法・総平均法)は一度決めたら継続して適用し、取引履歴と申告内容の整合性も必ず確認してください。

住民税申告書との整合性や、予定納税がある場合の調整、源泉徴収票との照合なども重要な確認ポイントです。

e-Taxでの申告方法

e-Taxを利用するメリット

e-Taxでの申告には多くのメリットがあります。24時間申告が可能で、計算も自動化されるため、手書きでの計算ミスを防げます。また、添付書類の省略が可能で、還付金の早期振込などの特典もあります。

青色申告を行っている場合は、e-Taxでの申告により青色申告特別控除額の優遇措置も受けられるため、積極的な活用をおすすめします。

e-Taxでの雑所得入力の具体的手順

e-Taxでの入力は、所得・所得控除等入力画面で「雑所得」をクリックすることから始まります。次に雑所得入力画面で「その他」を選択し、種目は「暗号資産」を選択します。

収入金額と必要経費を入力すると、所得金額が自動計算され、他の所得との合算も自動で行われます。入力途中でのデータ保存機能もあるため、時間をかけて正確に入力することができます。

申告完了後はデータを必ず保管し、入力内容の見直しや計算結果の検証、提出前の最終確認も怠らないようにしましょう。

申告書作成のための準備

効率的な事前準備

申告書作成をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。損益計算書(自作)、取引履歴、必要経費の領収書、源泉徴収票などの基本書類を整理しておきましょう。

また、月別損益一覧、取引所別損益、通貨別損益などの計算資料も準備しておくと、申告書作成時の確認作業が効率的に進められます。

理想的な作成スケジュール

余裕を持った申告書作成のために、以下のようなスケジュールをおすすめします。1月中に取引履歴の収集を完了し、2月上旬には損益計算を完了させます。2月中旬から申告書作成を開始し、2月下旬には申告書を完成させて内容確認を行い、3月上旬には申告書を提出するという流れです。

このスケジュールなら、期限直前に慌てることなく、十分な確認時間を確保できます。

まとめ

仮想通貨の確定申告書作成には、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、確定申告書の雑所得欄に記入し、所得の内訳書の作成も必要です。記入の際は、利益額を正確に計算し、必要経費を適切に計上し、他の雑所得との合算も忘れずに行いましょう。

記入ミスを防ぐために、計算根拠となる資料は必ず保管し、早めの準備開始を心がけることが大切です。e-Taxを利用すれば計算の自動化や24時間申告などのメリットも享受できます。

確定申告書の作成は慎重に行う必要がある作業です。複雑なケースや不安な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。正確な申告により、安心して仮想通貨投資を続けることができるでしょう。

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