個人事業主がクラウド会計を使うメリット

はじめに

個人事業主として活動していると、事業の核となる業務に集中したいのに、経理や確定申告などの事務作業に多くの時間を取られてしまうことがあります。特に会計業務は専門知識が必要で、ミスも許されないため、多くの個人事業主にとって頭の痛い問題となっています。そんな悩みを解決してくれるのが「クラウド会計」です。

クラウド会計とは、インターネット上で会計業務を行えるサービスのことで、近年では多くの個人事業主に活用されています。このコラムでは、個人事業主がクラウド会計を利用することで得られるメリットについて詳しく解説します。

1. 時間と労力の大幅な削減

個人事業主にとって最も貴重なリソースは「時間」です。クラウド会計の最大の魅力は、会計業務にかかる時間を大幅に削減できることにあります。エクセルを使って全て手入力というお客様も中にはいるのでないでしょうか。稀にこのようなお客様からご連絡頂いたときは、そのガッツに心から拍手を行っています。感動レベルでいうとガラケーからスマホに機種変した時以上の感動を味わえます。感動を味わってみたい方は是非ご連絡下さい(‘ω’)

自動データ取込機能

クラウド会計の多くは銀行やクレジットカードと連携し、取引データを自動的に取り込む機能を持っています。これにより、従来は手作業で行っていた取引の入力作業が不要になります。例えば、事業用の銀行口座やクレジットカードを使用していれば、その取引履歴が自動的にクラウド会計ソフトに反映され、仕分けの候補も提案してくれます。しかし、連携しておけば全ての取引が組み込まれ仕訳が全て自動で完ぺきに組み込まれるわけではありません。取り込まれたデータの仕訳を確認し、誤った仕訳は修正し、全て網羅的に取り込まれているかを確認しなければなりません。稀に取り込み漏れも発生します。放っておくと残高がマイナスになったり誤った仕訳が計上され続けるので注意して下さい。

レシート読み取り機能

スマートフォンのカメラでレシートを撮影するだけで、金額や日付、支払先などの情報を自動的に読み取り、経費として記録してくれる機能も便利です。これにより、レシートの保管や手入力の手間が大幅に削減されます。この機能も侮ってはいけません。最近のクラウド会計のデータの読み込みの機能はかなり高いです。

仕訳の自動化

過去の取引パターンを学習し、類似の取引があった場合に自動的に仕訳を提案してくれる機能も、多くのクラウド会計ソフトに実装されています。これにより、会計知識が乏しい個人事業主でも、正確な仕訳が可能になります。

2. いつでもどこでも利用可能

クラウド会計の大きな特徴は、インターネット環境さえあれば、時間や場所を選ばずに利用できることです。

モバイル対応

多くのクラウド会計サービスは、スマートフォンやタブレットに対応したアプリを提供しています。これにより、外出先でもレシートを撮影して記録したり、取引状況を確認したりすることが可能です。

リアルタイムでの情報更新

従来の会計ソフトと異なり、クラウド会計ではデータがリアルタイムで更新されます。そのため、最新の財務状況をいつでも確認することができ、事業の意思決定をスピーディに行うことができます。

マルチデバイス対応

同じアカウントを複数のデバイスで利用できるため、オフィスではPCで、外出先ではスマートフォンでというように、状況に応じて最適なデバイスで作業できます。

3. 確定申告の効率化

個人事業主にとって大きな負担となる確定申告も、クラウド会計を利用することで格段に効率化できます。

申告書類の自動作成

日々の取引データを正確に記録しておけば、確定申告に必要な書類を自動的に作成してくれる機能が多くのクラウド会計ソフトには搭載されています。青色申告決算書や収支内訳書、所得税の申告書などが、数クリックで作成できます。

e-Taxとの連携

国税電子申告・納税システム(e-Tax)と連携しているクラウド会計サービスも多く、作成した申告書類をそのままe-Taxで提出することが可能です。これにより、税務署に出向く手間も省けます。

税理士との連携がスムーズ

クラウド会計では、税理士に閲覧権限を付与することで、同じデータを共有することができます。弊社もこの機能で多くのお客様をサポートさせて頂いております。これにより、確定申告前の相談や確認作業がスムーズに行えます。また、税理士に依頼する場合でも、データ整理の手間が減るため、費用を抑えられる可能性もあります。

4. ミスの削減と正確性の向上

手作業での会計処理は、どうしてもミスが発生しやすくなります。クラウド会計を利用することで、そうしたミスを大幅に減らすことができます。

自動計算機能

合計額や税額の計算はすべて自動で行われるため、計算ミスの心配がありません。また、消費税の軽減税率対応なども自動で処理してくれます。

データの整合性チェック

多くのクラウド会計ソフトには、入力データに不自然な点があった場合に警告を出す機能が備わっています。例えば、同じ取引を二重に記録してしまった場合などに、エラーメッセージが表示されます。

バックアップの自動化

クラウド上にデータが保存されるため、パソコンの故障やデータの紛失といったリスクを心配する必要がありません。定期的な自動バックアップにより、データの安全性が確保されています。

5. 経営状況の可視化

クラウド会計の大きな利点の一つが、事業の経営状況をリアルタイムで可視化できることです。

わかりやすいグラフ表示

売上や経費の推移、利益率の変化などを、グラフや表で視覚的に確認できます。数字が苦手な個人事業主でも、経営状況を直感的に理解することができます。どの部分の売上が高く、どの経費の出費が多かったかも羅列して表示できる等数字の把握が簡単にできます。

キャッシュフローの把握

入金予定や支払い予定も管理できるため、将来的なキャッシュフローを予測しやすくなります。資金繰りの改善にも役立ちます。

経費の分析機能

経費の内訳や推移を分析する機能も充実しており、無駄な支出の発見や経費削減のヒントを得ることができます。

6. 成長に合わせたスケーラビリティ

個人事業主の事業規模は、時間とともに変化していくものです。クラウド会計は、そうした成長に柔軟に対応できる特徴を持っています。

プラン変更の容易さ

多くのクラウド会計サービスでは、事業の成長に合わせて利用プランをアップグレードすることが可能です。初めは基本的な機能だけを利用し、徐々に高度な機能を追加していくことができます。

機能の拡張性

請求書発行や給与計算、在庫管理など、必要に応じて機能を追加することも容易です。事業の多角化や従業員の雇用など、事業形態の変化にも対応できます。様々な機能を使用した場合でも、全て会計データに反映されるのでミスが減り効率的に会計数値を把握できます。

法人成りへの対応

個人事業主から法人へと移行する際も、多くのクラウド会計サービスでは、データを引き継いで法人会計に移行することができます。

7. コスト削減効果

初期投資や維持費の面でも、クラウド会計には大きなメリットがあります。

低い初期コスト

従来の会計ソフトは、高額な初期費用がかかることが多かったですが、クラウド会計は月額や年額の利用料で利用できるため、初期投資を抑えられます。多くのサービスでは、月額数千円程度から利用可能です。

8. セキュリティの向上

個人事業主が自己管理するよりも、プロフェッショナルが管理するクラウドサービスの方が、セキュリティ面では安心できる部分が多いです。

専門的なセキュリティ対策

クラウドサービス提供企業は、データ暗号化やファイアウォールなど、専門的なセキュリティ対策を施しています。個人で同レベルの対策を講じるのは困難です。誤って紛失や削除の恐れがないため安心できます。

アクセス権限の管理

必要に応じて閲覧や編集の権限を設定できるため、複数人で作業する場合でも、データの安全性を確保できます。個人で行っている場合には特段気を付けることはないのですが、従業員を雇うときにはこの機能は使用する場面が増えてくるでしょう。

10. 法改正への迅速な対応

税制や会計基準は頻繁に改正されます。クラウド会計なら、そうした変更にも迅速に対応できます。クラウド会計を用いずに記帳を行うと税制や会計基準の改正のキャッチアップはご自身で行って頂く形になりますが、クラウド会計を使用するとバージョンアップで自動で修正されるのでその点は便利ですね。

まとめ

個人事業主がクラウド会計を利用するメリットは、時間と労力の削減、場所を選ばない利便性、確定申告の効率化、ミスの削減、経営状況の可視化、成長への対応力、コスト削減、セキュリティ向上、ワークライフバランスの改善、法改正への対応など、多岐にわたります。

これらのメリットを享受することで、個人事業主は「やりたい仕事」に集中し、事業を成長させるための時間と余裕を確保することができます。また、財務状況の把握が容易になることで、より戦略的な経営判断が可能になります。

クラウド会計の導入を検討する際は、自分の事業規模や業種、必要な機能などを考慮して、最適なサービスを選ぶことが重要です。多くのサービスでは無料トライアル期間が設けられているので、実際に使ってみて操作感や機能性を確かめることをおすすめします。

会計業務のデジタル化は、個人事業主の働き方を大きく変える可能性を秘めています。この機会に、クラウド会計の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

小規模事業共済とは?

開業届ってどうするの?

黒字倒産とは

個人事業主のプライベート口座に入金された売上の処理について

仮想通貨の利益計算から確定申告まで:初心者でもわかる完全ガイド

知っておきたい医療費控除の基礎知識と賢い活用法

PAGE TOP